わたしのカルテをはじめて

~納得のいく治療を受けていますか?~

 医療機関を受診した時に、医師のやりとりを全て理解し、納得して治療を受けることは、当たり前のようで、なかなか難しいことです。これを解決するのが、わたしのカルテなのです。

 昭和62年、大阪 医療法人橋本クリニックの橋本先生より、わたしのカルテのご指導をいただきました。このカルテに、病名・検査計画・検査結果・治療方針・生活指導等を、スタッフが記入していきます。受診時に行われる胃・大腸カメラ、エコー等の各種検査写真や、血液等の検査結果、処方・注射・点滴・処置の内容等も記録し、患者様へ提供した情報が、受診後に手元で確認できるようにいたします。 

 そして、患者様にも、自覚症状やご希望等を記入していただきます。お互いの意思疎通を図る交換日記的な役割も持ち合わせています。

 当院では、平成元年 開業時から、このわたしのカルテを用いることで、カルテの開示を行ってきました。このような観点から、現在、当院では診察券を発行しておりません。全ての患者様に、わたしのカルテをお持ちいただいております。

 

*お薬手帳をお持ちの方は、代用も可能ですので、受付にお渡し下さい。わたしのカルテ同様に記入をさせていただきます。


カルテの開示の問題点

 考え方は三者三様。わたしのカルテ煩雑と思われる方もいらっしゃるようです。

 わたしのカルテには、前述の内容を記入していきますが、患者様との会話が全て記載される訳ではありません。当初は、わたしのカルテの記載内容が全てと判断されて、誤診・過剰診療・がんの告知・病状の説明不足等の指摘をいただきました。問題視してご指摘をくださるのは、患者様以外の第三者でした。

 診療時は、患者様との話合いで、より良い方法を選んでいただきます。患者様ご自身の同意(インフォームド・コンセント)です。これにより、患者様ご自身やご家族様からのクレームは、ほとんどありませんでした。

 当院は、都市部とは違い、栃木県南東部の農村地域にあります。隣近所の結びつきが強い為、うわさ話はすぐに広まります。開示に注意が必要な場合もありました。 このような地域性による問題はあると思われます。

 問題が起きた時には、それをより良く解決する方法を患者様とともに考える事によって、理解が得られると思っております。


スタッフからみた わたしのカルテの利点

 わたしのカルテは、処方された薬の名前や病名・検査結果・日常生活の注意点等が記入された状態で、 患者様の手元に戻っていきます。 書面に確実に書き残す事は、言葉で伝えるより、双方の意思疎通を図る上でも、とても重要な事です。 私たちスタッフが記入ミスをした場合、患者様にとって、大きな混乱を招く事になりますので、十分に注意をはらっております。

 患者様ご本人だけでなく、ご家族様にもわたしのカルテを活用していただく事により、他者が個人の健康状態を把握することができます。 お子様や高齢者への注意点を記入することで、ご家族様が異常に気が付き、早めの診療を受けていただくケースも多くみられました。

 当院では、よりよい医療を目指しております。その橋渡しとなるのが、わたしのカルテであり、 より良い医療を継続する上で、大変重要な役割を果たしていると思います。

 このように、カルテを開示するには、医師だけではなく、看護師・事務の全てのスタッフが カルテ開示の必要性を認識する必要があります。患者様、スタッフの共通認識を深めることで、クリニック全体も活性化していきます。
 カルテの開示を行い、患者様とのよりよい信頼関係を作り、より良い医療を行うべく、頑張っていきたいと思います。